神迎の道に住む者にとっての神迎祭



全国からこの出雲にいらっしゃる神々をお迎えするのが「神迎神事(かみむかえしんじ)」です。出雲大社の西方にある「稲佐の浜(いなさのはま)」にてその神事が執り行われます。


とある年の神迎神事の事を思い出します。その日は朝からあいにくの大荒れの天気で、強い雨風が出雲地方に吹き荒れていました。その夜からの大事な神事に影響がなければよいと、誰しもが思っていたことでしょう。

しかし、神迎神事が始まる夕刻7時が近づくと、それまでの悪天候が嘘のように空は静まります。まるでそれまでの風雨が、神様方をお迎えするにあたり、町全体を清めていたのではないかと思わせるに十分な出来事でした。


稲佐の浜に降り立たれた神様方は、御使神「龍蛇(りゅうじゃ)神」様をご先導として「神迎の道(かみむかえ)」を厳かにお進みになられます。神迎の道に連なる当館はもちろんのこと、道沿いの家々やお店は屋内の明かりを消し、家族全員で家の前に立って御一行が通られるのを待ちます。

遠くから笛と太鼓の音が聞こえだしたら、いよいよ近づいてまいられた証拠。人々は口をつぐみ、頭を垂れて神様方をお迎えします。その間は、顔を上げて直接御一行を見ることはいたしません。

その道中、ご同行される出雲大社宮司様が数回だけ「おぉーーー」という低く厳かなお声を発せられます。そのお声を家の前で聞くことが出来たならば、今年の神迎が大変な栄誉であると、家族中がその尊さを誇りにするものです。もし、神様のお声を直接聞くことが出来るのだとしたら、きっとこのようなお声に違いないと確信したりもするのです。


こうして稲佐の浜から出雲大社までの御神幸に続き、「神迎祭(かみむかえさい)」が執り行われます。


長さ約13メートル、重さ5.2トンの大注連縄(おおしめなわ)をその正面に抱える「神楽殿(かぐらでん)」で執り行われる「神迎祭」が終われば、7日間にわたる「神在祭」のはじまりです。この期間に人々の「しあわせ」のご縁を結ぶ会議「神議(かみはかり)」が行われます。


この祭事の期間、私ども地元の人々はその「神議」の邪魔をしてはならない事から、賑やかなイベント事は避け、家などの建築を行わず、ひたすら静粛を保つようにしています。「御忌祭(おいみさい)」とも言い、子供の頃は「今は御忌さん(おいみさん)だから静かに過ごそうね」などと親から戒められたものです。


私どものほとんどは、神様のお姿を見ることも、お声を聴くことも出来ません。しかし、心の拠り所として大神様を崇拝し、永らくその想いを伝えてきた自身の先祖を敬う心を持ち続ける。出雲大社「神迎の道」に住まう私どもは、そんな想いを抱きながら、今年も厳かに神迎の日を迎えるのです。


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